鋼芯のワイヤロープは何℃の物まで吊り上げが可能でしょうか?
芯綱は、ストランドを支えてロープの形を保つと同時に、ロープグリースを保持し
内部から潤滑と防錆に必要なグリースを補給するという2つの重要な働きをします。
繊維芯の特徴としては鋼芯に比べて、
・ロープの柔軟性が大きい
・ロープに加わる衝撃や振動を吸収する
・ロープグリースを含みやすい
鋼芯の特徴としては繊維芯に比べて、
・ロープの強度が高い
・横圧に対し強く、ロープがつぶれにくい
・ロープの耐熱性が優れている
ワイヤロープの繊維芯は130-150℃で炭化し、芯が炭化したワイヤロープは形状が崩れます。
では鋼芯ですが、鋼芯は繊維芯が炭化する温度以上でも芯綱が鋼だから焼失することがございません。
ということから、高温の荷を吊り上げる時に鋼芯のワイヤロープを使用されることが
多いのですが、誤りです。
ワイヤロープは、100℃以上の温度を与える環境では使用不可です。
理由は、塗布油が100℃までで消失し、油が無くなったワイヤロープは摩耗や
断線が早期に発生し、疲労性能が著しく低下するからです。
この疲労性能が著しく低下するという危険性から、JIS B8817≪ワイヤロープスリング≫で
「100℃を超える温度では使用してはならない」と使用基準が明記されています。
100℃以上の温度を与える環境では、ワイヤロープスリングではなくチェーンスリングで
玉掛け作業をするようにしてください。