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加工効率とは

加工前のワイヤロープと加工後のワイヤロープの破断荷重から算出した割合です。
玉掛け作業に使える圧縮止め(ロック止め)加工とアイスプライス加工の加工効率は、引張り試験のデータから標準的な値を用いたものです。

(1)圧縮止め(ロック止め)加工


圧縮止め(ロック止め)加工効率

加工効率 95%
※加工不良のものは加工効率が低下します。


(2)アイスプライス加工


アイスプライス加工 加工効率

加工効率 95-75%
※ワイヤロープ径により加工効率が異なります。
15mm以下 95%
16mm-26mm 85%
28mm-38mm 80%
39mm以下 75%


加工効率の計算式

加工効率の計算式


【注意】ワイヤグリップ止めでの玉掛け作業に使用について


ワイヤグリップで加工したワイヤロープは玉掛け作業として使用する際は十分注意してください。

クレーン等安全規則 第219条によると、「アイスプライス若しくは圧縮止め又はこれらと同等以上の強さを保持する方法によるものでなければならない。」と定められており、
ワイヤグリップ止めの加工効率は、正しく取り付けられた場合で80%、加工不良のものは加工効率50%以下となり、締めが弱くなると、アイスプライスや圧縮止めと同等以下になるため危険です。


玉姫

加工効率のことを知ると「なぜ危険なのか?」理解できたわ!正しい方法で加工されたワイヤロープを使用するために、信頼できる加工業者や販売店を見つけておく必要があるわね。


玉掛けワイヤロープのアイスプライス加工(編み込み加工)によく似た外見で台付けワイヤロープというものがあります。台付けワイヤロープは、トラックの荷台などに荷物を固定する用途に使用し、玉掛け作業には使用できません。
玉掛けワイヤロープはクレーン等安全規則 第219条で差し込み回数が決まっているのに対し、台付けワイヤロープは差し込み回数が定められておらず(ストランド5回差し込みで半差しをしないのが一般的)、玉掛け作業に使用すると、編み込み部分が抜けて落下事故を発生させる危険性があります。

(1)玉掛けワイヤロープ差し込み回数が法で規定されている
(クレーン等安全規則 第219条)
玉掛け作業OK
(2)台付けワイヤロープ差し込み回数は法で決まっていない
(一般的にストランド5回差し込む)
玉掛け作業NG
(荷物を固定する用途に使う)

外見上の見分け方

台付ワイヤロープもアイスプライス加工(編み込み加工)をしており、玉掛けワイヤロープと外見が良く似ています。台付けワイヤロープを玉掛け作業に使用しないように注意が必要です。
玉掛けワイヤロープと台付けワイヤロープの違いは、加工した後に見えるひげの数(ヵ所)で判断することができます。


(1)玉掛けワイヤロープ

玉掛けワイヤロープは、ストランドを3回(もしくは4回)編み込み、ストランドを半分に切り落としてから、さらに2回以上(最初に4回編みこんだ場合は1回)編み込みます。そのため、切断した際に現れるひげが2ヵ所出ててきます。

クレーン等安全規則 第219条


玉掛けワイヤロープ ひげの箇所
玉掛けワイヤロープ 編み込み



(2)台付けワイヤロープ


台付けワイヤロープは、一般的にストランドを5回差し込みしているだけなので、切断されるときに現れるひげは1ヵ所です。

※差し込み回数の法による規定はない。


台付けワイヤロープ ひげの箇所
台付ワイヤロープ 編み込み

玉姫

玉掛けワイヤロープは、半差をすることによって、加工部分がテーパー状になり、力(応力)が一点に集中するのを防いでいるらしいわ!
それに対して台付ワイヤロープは、写真のようにひげの部分に段がついて、力(応力)が一点に集中しちゃうから破断しやすくなるそうよ。
外見が良く似ているから、台付けワイヤロープを玉掛け作業に使ってしまいそうで不安だったけど、見分けるポイントを覚えたからもう安心ね♪


玉掛け作業にはかかせないワイヤロープですが、玉掛け作業に使えるワイヤロープはクレーン等安全規則によって、安全係数(クレーン等安全規則 第213条)と、端末処理(クレーン等安全規則 第219条)が定められています。

安全係数(クレーン等安全規則 第213条より)

玉掛け作業に使用できるワイヤロープの安全係数は6以上でなければなりません。

※安全係数とは、ワイヤロープ等の切断荷重と、使用するときにかかる最大荷重との比のことです。
(安全係数=ワイヤロープの切断荷重/そのワイヤロープにかかる荷重の最大値)

関連ページ[FAQ]クレーン等安全規則 第213条とは


端末処理(クレーン等安全規則 第219条より)


玉掛け作業に使用できるワイヤロープは、エンドレスまたは両端にフック、シャックル、リングまたはアイを備えたものでなければなければなりません。
ワイヤロープの端末加工にはアイスプライス(編み込み)加工圧縮止め(ロック)加工が用いられます。

関連ページ[FAQ]クレーン等安全規則 第219条とは


主な玉掛けワイヤロープ

主な玉掛けワイヤロープ


アイスプライス(編み込み)加工



アイスプライス(編み込み)加工とは、ストランドをワイヤロープの間に差し込んでアイを作る加工方法です。差し込み回数はクレーン等安全規則 第219条にて定められています。別名「さつま加工」とも呼ばれます。


差し込み回数

アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後、それぞれのストランドの素線の半数を切り、残された素線をさらに2回以上 (すべてのストランドを4回以上編み込んだ場合は1回以上)編み込むものとする。
クレーン等安全規則 第219条より

巻差し


巻差し

より方向に沿って編み込みます。一般的な加工方法です。


かご差し


かご差し

より方向と反対方向に編み込むため、ロープが回転してよりが戻っても、加工部分は巻差しに比べて抜けにくくなっています。加工方法は巻差しに比べて難しいです。


ロープ加工技士のラベル


アイスプライス加工の編み込みは、十分な技術および経験を有する技術者が行うことが望ましいです。労働省認定のロープ加工技士が加工したワイヤロープをおすすめします。
ロープ加工技能士が加工したワイヤロープには下記のラベルがついています。

よくある悩み「玉掛けワイヤロープは誰が加工したものでも使用していいのでしょうか?」参照。



圧縮止め(ロック)加工



アイの首部に専用の金具(スリーブ)を入れて、機械で圧縮する加工方法です。短時間で加工することができ、加工効率も安定しています。(正しく圧縮された場合。)


円筒形


ワイヤロープの端末が見えています。一般的に使われている形状です。


流線形


ワイヤロープの端末が隠れています。テーパー状にすることで、吊り荷に引掛りにくく扱いやすくなります。


加工業者の表示


金具(スリーブ)部分に加工業者の表示がある信頼できるワイヤロープを使用しましょう。


注意
金具(スリーブ)の材質は一般的にアルミ合金が使われています。
アルミ合金は海岸や海中で使用すると、塩害により溶解してロープが抜けてしまうから使用しないでください。塩害の恐れがある所で使用する場合は、鉄やステンレスのスリーブを使用してください。

玉姫

ロック加工は、シンブルを組み込んで加工する場合に適しているそうよ!アイスプライスで加工するより、圧縮止めの方が加工するときに管の部分でよく締まるからシンブルを固定しやすいんだって。
アイスプライス加工は、狭い場所にワイヤロープを通す時に適しているそうよ。圧縮止め(ロック)止めだと金具が引っ掛かって抜けちゃうと危ないしね。

玉掛けワイヤロープの加工は様々だけど特徴をいかして安全に使用しなくちゃね♪